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ドラジャパクイーンの教訓7:コミュニケーション再考続き(2020年締めのブログ)

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Nativity(キリスト生誕)のシーンを模した陶器の置物です。もっとリアリスティックなものもありますが、これは主人がチェコプラハで買ってきてくれたものです。

12月の第1週で秋学期が終わり、採点、成績づけに追われておりました。その後、日本へ。週一更新を怠ってしまった言い訳です。

 

この数年、最終成績とその内訳を各学生さんにメールでお知らせしています。大学からの正式な知らせが来る前に、成績の詳細、学生さんが頑張ったところ、頑張りが足りなかったところなどを添えて、コミュニケーションをはかるようにしています。

 

「わたしのクラスを取ってくれてありがとう。クラスに貢献しましたね。」という冒頭の挨拶からはじまり、中程で小テストの合計とか、数字のデータを表にします。最後は「今後の健闘をお祈りします。」の挨拶で締めます。

 

学生数が比較的少ないので、できることですが、それでもかなり時間がかかる作業です。でも、この一手間をかけることで、成績に関する苦情、質問に答えることがほぼなくなりました。

 

以前は、自分はもっといい成績が取れたと思ったのに、といった苦情があり、そのたびにメールのやり取りを何度もしたり、面談をしたり、と時間をかなり取られたこともありました。さらに、面談中に感情的になって、学生さんが泣いたり、怒ったりして、極端なケースでは、「僕の人生を台無しにした。」とお手紙をもらったこともあります。(今でもその手紙は取ってあります。)

 

わたしが日本で学部生だったころには考えられないですね、成績に苦情を言うなんて。先生方はどうやって成績をつけているのかミステリーでしたね。レポートを投げて、遠くに飛んだものにAをつけるなんて噂もまことしやかに流れていたのを記憶しています。

 

時代は変わり、日本の大学でも成績に関して学生さんが苦情とまでいかなくても、成績の詳細について担当の先生に質問できるようになったようですね。

 

ずっと前に述べた英語の表現、on the same pageは、共通認識を分かち合っているということを確認するのに、日常的に使われる慣用句です。「以心伝心」の真逆というのでしょうか。ビジネスの場面ではもちろんのこと、学生対教師という役割関係の場面でもよく使われます。教師(といっても個人差があるので、一般論は通じませんが)が当たり前と思っていることが、必ずしも学生(こちらも個人差がありますね)にとって当たり前なことと合致するとは限りません。

 

成績で苦情を言われないためには評価方法そして評価基準を明確にしておく必要があります。とはいっても、100%客観的な評価はむずかしいから、こんな感じで頑張ってね、という例をあげたりします。カナダの大学全般に言える事だと思いますが、学期のはじめに配るシラバス(コースの概要)はかなり詳細に評価に関して記述します。さらに、このような学習目的のために、このような学習活動をし、それをこのように評価します、といったような、まるで契約書、実は契約書的な役割をシラバスは持っています。

 

以上のように、しっかり武装しているように見えますが、それでもわたしの想像を超えることがたまにあります。

 

今はメールがあるので、気軽にまだあったことのない教師に連絡を取りやすいのでしょうね。

 

授業の時間を変えて欲しいという要望があったのには、驚きましたね。「えっ、あなた一人のためだけに、もう決まっている時間割を変えるの?」その時には、もう決まっているので、一人だけのために変えられません、と答えた記憶があります。返事はなかったと思います。

 

以上、学生批判めいたことをずらずらと並べたのは、「コミュニケーション」の基礎が、各人が当たり前だと思っていることが往々にして異なるということを認識する必要がある、ということを強調したかったのです。

 

前にも述べたことですが、「コンテクストのすり合わせ」、「イメージの共有」が、コミュニケーションをとるのに必要だということですね。

 

ただ、コミュニケーションをとる際、相手が100%共感、同調をしてくれるとき、違和感を覚えることもあります。へそ曲がりだからかもしれませんが、「本当にそう思ってるの?」、「ことを荒立てたくないから、イエスと言っているんじゃないの?」など。

 

けんかをする必要はないと思いますが、意見がちがっても別に気にしない、気にならない、強さというか鈍感さというのも、真のコミュニケーション達成のために必要なのかな、と思います。

 

Agree to disagreeですね!

 

さて、今年の6月から始めたブログ、29回目の記事で2020年を締めくくりたいと思います。書き散らした拙文をお読みいただき、ありがとうございました。また来年から徒然なるままに、思ったこと、思い出したことを綴っていく所存です。

 

はじめの目標、30回に達することができなかったのが、残念ですが、三日坊主のわたしにしては上出来だあ!

 

みなさま、どうぞ良いお年をおむかえください。