ドラジャパクイーンのお部屋へようこそ!ドラマ・演劇・言語教育について思うこと

ドラマ・演劇を日本語教育に活用するアイデアをシェアする場です。

ドラジャパクイーンのさよなら

我が家の裏庭で咲くSnow drop(松雪草) この記事で30回目の更新となります。徒然なるままに書き散らした文字数が5万字ほどに。 言語学、教育学などへの興味から、日本語をカナダで外国語として教えはじめて、助手時代も含めると38年。長いですねー。日…

ドラジャパクイーンの教訓7:コミュニケーション再考続き(2020年締めのブログ)

Nativity(キリスト生誕)のシーンを模した陶器の置物です。もっとリアリスティックなものもありますが、これは主人がチェコのプラハで買ってきてくれたものです。 12月の第1週で秋学期が終わり、採点、成績づけに追われておりました。その後、日本へ。週…

ドラジャパクイーンの教訓6:コミュニケーション再考

冬でも咲き続けるエリカとそれを愛でる愛犬ポント このブログで、何度も出てくるキーワード、「コミュニケーション」について、しつこく繰り返しになりますが、考えさせてください。前のブログ記事と重複する箇所もありますが、ご容赦ください。 コミュニケ…

ドラジャパクイーンの教訓5:使う言語によって自分は変わる?

ビクトリア、Government House 「習い性」の話のつづきです。 カナダに住んでいる年数が日本でのそれを越えてから、10年以上経ちます。 洋画好きだった母の影響を受け、子供のころから外国語、特に英語に興味を持っていました。英語を勉強したい!と思った…

ドラジャパクイーンの教訓4:習うより慣れろ

ビクトリア Government Houseにて ヴィゴツキーという有名な発達心理学者は、子どもは自分一人では到達できないが大人や仲間と一緒の協同作業を通してなら到達できるレベルの能力を潜在的に持っているといっています。それが「発達の最近接領域」の概念です…

ドラジャパクイーンの教訓3:学ぶ立場から学んだこと

京都相国寺のボケ 先回のブログで、平田オリザさんが勤務校に客員教授としていらしたことに触れました。 今日は、その時のことを振り返ってみたいと思います。 上級日本語会話•聴解のクラスを担当していただくことになりました。このクラスは、通常わたしが…

ドラジャパクイーンの教訓2:異業種交流で学んだこと

山茶花ー京都、相国寺 異業種交流というとビジネスっぽいですが、わたしの場合、教師以外のお仕事に従事されている方々との出会いを意味しています。よく言われることですが、教師を長くやっていると、どうしてもお山の大将になってしまいがちです。かくいう…

ドラジャパクイーンの教訓1:学会発表での失敗から学んだこと

晩秋の菊ー宇治平等院にて さてさて、「東京ノート」を使った授業も順調に進み、調子に乗ったわたしは、「このすばらしい取り組みを学会で発表してみよう!」と思いつきました。軽はずみというかフットワークの軽いわたしは、某学会での発表申請をし、めでた…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師奮闘5

秋の夕空 この「東京ノート」を初めてみたときの衝撃は20年経った今でも忘れられません。平田オリザさんの戯曲・演出によるお芝居は「芝居がかった」セリフとセリフ回しがなく、はじめのころは、全部アドリブではないのかと疑われていたらしいです。青年団…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師奮闘4

季節外れの彼岸花〜ビクトリアにて 前に、久しぶりに初級日本語を担当しているとお話しましたね。初めて日本語を習う人たちが30名もクラスにいます。教室内であまり練習する時間がなく、個々の学生さんのための行き届いた授業とはとうてい言えない状況です…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師奮闘3

ビクトリアの秋ーfeat.ポント 日本語を学んでいる人たち、特に日本以外の地で日本語を勉強している人たちにとって、最大の難関は日本語を聞いたり、話したりする機会が非常に限られていることだと思います。 日本語を教えていて、教科書の中の「会話」に違和…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師奮闘2

島根県安来足立美術館近くの旅館 9月の第1週から教え始めている初級日本語講座。最後に教えた記憶が定かでないほど久々です。年齢のせいか、近々の過去よりずーっと前の過去の記憶が鮮明に蘇り、現在の勤務校で教え始めたころをすこしふりかえります。 3…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師奮闘1

秋の気配:ビクトリアではありません。宇治の平等院です。 前にお話ししたかと思いますが、カナダの大学院で博士課程の勉強をしておりました。そもそもは、演劇・ドラマなどのクリエーティブな活動を英語教育に取り入れたいと思い、ドラマ・演劇教育の大家の…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師誕生秘話3

遅咲きのゆり(ビクトリア市立図書館) わたしが日本語を教え始めた1980年代。そのころ、初級日本語の助手としてカナダ人の学生さん相手に日本語を教えていた頃、主に使っていた方法は、オーディオ・リンガル・メソッドと呼ばれるものです。 オーラル・…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師誕生秘話2

裏庭の桔梗 勤務先大学の新学年が始まりました。今年は勤め始めて、なんと33年目です! 今学期は、10数年ぶりに初級日本語を担当することになりました。この10年ほどは、日本語以外の科目を担当することが多く、日本語を教えると言っても、上級の読解…

ドラジャパクイーンの本職:もぐりの日本語教師誕生秘話1

オンタリオ州ミシソガで見かけたBrown-eyed Susan (オオハンゴンソウ属) カナダ・ビクトリアの大学で日本語を教えて早32年。トロントでの大学院生時代も含めると、37年も日本語を教えていることになります。 トロント時代、日系子女の為に作られた日本…

ドラジャパクイーンの本懐4:日常の言語生活に潜む「遊び」2

夏の収穫 かぼちゃ、いちごとほうれんそうのハイブリッド 前のブログで、明確な目的があり、伝えたい情報があるから、コミュニケーションをとるとは限らないというお話をしました。 「雑談」の醍醐味、そしてむずかしさは、話がどう転がるかわからないところ…

ドラジャパクイーンの本懐3:日常の言語生活に潜む「遊び」1

ビクトリア、ビーコンヒル公園 週一のブログ更新を怠ってしまいました。自分の約束を破ってしまって、残念、無念! でも、わたしは、なぜ自分の約束にこだわるのでしょう? 言語哲学の分野で、言語行為理論(Speech Act Theory)という言語理論があります。…

ドラジャパクイーンの本懐2:言語を使った「遊び」活動

裏庭のコスモス 言語活動の遊び的要素とか遊び的側面と、聞いてどんなことを連想しますか? ダジャレやなぞなぞなどの言葉遊びでしょうか? 落語、漫才、川柳など言葉を使って作者・演者自身が楽しみ、楽しませる活動、滑稽・諧謔を狙う俳諧はグループで言葉…

ドラジャパクイーンの本懐1:言語の中の「遊び」プレリュード

Oak Bayのベゴニアー個人のお家ですが、見事なお庭をおしげもなく披露してくださっています。 週一回更新。自分との約束がギリギリで守れました。() これから数回にわたって、わたし個人の「言語」観のようなものを展開していこうと思います。過去学んだこ…

ドラジャパクイーンの回顧 5:カイヨワ流「遊び」の本質と種類

Genoa Bayのお花たち(パンジーと紫の花) 少なくとも週一ブログ更新という自分への約束を破ってしまいましたが、まあ無理せず「悠々・遊遊?」と、「遊び」理論のお話を続けましょう。 作家・批評家であるロジェ・カイヨワはLes Jeux et les Hommes(『遊び…

ドラジャパクイーンの回顧 4:ホイジンガー流「遊び」の特徴

我が家の裏庭で咲く芍薬 「遊び」ということばを聞いて、どんなイメージが浮かびますか? 動物の仔がじゃれあっている行動? ままごと、鬼ごっこなど一連の子供の遊戯? 「仕事」の反対語? 不真面目? 余裕のある様? 新字源によると、漢字の〈遊〉は〈辵と…

ドラジャパクイーンの回顧 3:「遊び」のはなしの入り口

ビクトリア市街のフラワーバスケット 前回は、私が言語学という学問に出会ったお話をしました。その頃、1970年代の言語学界のリーダー、MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授でいらっしゃったチョムスキーさんの生成文法理論が脚光を浴びていました。…

ドラジャパクイーンの回顧 2:「遊び」へのプレリュード

庭の片隅でひっそり咲くビオラ 「虚構」と「模倣」とくれば、「遊び」ですよね。 以前、カナダ生まれの日系の子供達に日本語を教えていたとお話しました。6歳の子供には、ほんと苦労させられました。その時の経験は後々日本語教師としての糧となるのですが…

ドラジャパクイーンの回顧 1:虚構、模倣、遊び

懐かしのベイビーキルト 前回、ドラマ教育における「虚構」の重要性について考えてみました。「虚構」と必ずと言っていいほど、いっしょに語られるのが「模倣」です。 上の写真の中で犬の敷物になっているくまちゃんのキルトを見ると、思い出すことがありま…

ドラジャパクイーンの迷走 2:「安全装置」としてのドラマ的なるもの

ビクトリア大学庭園のスズラン いい匂いで幸せな気持ちに。 前回のブログで「装置」という表現を使いました。 また国語辞典で調べてみますと、「ある目的に合わせて設備、機械、仕掛けなどを備えつけること、または、その設備、機械」を意味するそうです。 …

ドラジャパクイーンの迷走 1:「演劇」と「ドラマ」同じ?それとも違う?

ビクトリア大学庭園の鉄線を観察する柴犬ポント 前回のブログでは、ドラジャパクイーンの誕生です!と大見得を切りました。 しかし、カナダの大学でドラマ、演劇を外国語に活用という留学の大義名分にも関わらず、研究の方向を大転換してしまったのです。 そ…

ドラジャパクイーンの誕生 2:ドラジャパって、何?の続き

ビクトリア ブリティッシュコロンビア州副総督公邸のバラ園 「ドラジャパ」という言葉で、わたしは何を言いたいんでしょう? ドラマ的なもの+日本語を意味している、ということは確かなんです。ただ、「ドラマ」というのが、ちょっと曲者でして。 「ドラマ…

ドラジャパクイーンの誕生 1:ドラジャパって、何?

ビクトリア郊外で自生するFawn Lily 春の訪れを告げる花 ドラジャパって、何なの?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。それに「クイーン」までついているし。 「ドラマクイーン」は元々、英語の慣用表現で「小さい事に対し、大げさに騒ぎ立て…

はじめまして、ドラジャパクイーンです。ドラマや演劇を言語教育に活かすには?

はじめまして。ドラジャパクイーンです。 カナダのビクトリアという町で日本語を教えて、30数年。 カナダのビクトリア市にあるBeacon Hill Parl きちんと日本語教授法も学ばず、いきあたりばったりで教えている中、日本語会話をどうやって教えたらいいか、…